こんにちは、小西です。
本日は、laceコレクションの中から「deco lace」シリーズをご紹介いたします。
1910年~1930年頃に流行したアールデコスタイルから着想を得た「deco lace」は、2017年秋冬~2018年春夏にかけて発表されました。
なぜ、アールデコをテーマに掲げたのか?
意志の強さを感じるアールデコのデザインに共感し、無性に惹かれるものがあったからです。
当時と現代の世相にはいくつかの共通点があります。
・機械、技術、文明の進化
・様々な文化の混合、結びつき
・女性の社会進出
など…。
アールデコは当時の時代背景から自然発生したとも言えるスタイルです。
現代と通ずる部分があるアールデコの時代のジュエリーにデザイナーの稲沼が惹かれたのも、当然の事だったのかもしれません。
女性が働き始めるようになり、選挙権を獲得した時代。
ココシャネルが提示したモダンでシャープなドレススタイルが急速に広まりました。
それに伴いジュエリーも、エドワーディアンのように繊細なレースやフリルを思わせるデザインではなく、革新的でモダンなものが求められるようになります。
アールデコジュエリーの大きな特徴は、
・抽象的・幾何学的・直線的なデザイン
・ルビー、サファイヤ、エメラルドやダイヤモンドによる大胆な色のコントラスト
以上の2点に尽きると思います。
これらの特徴を再解釈し、アールデコの持つ強さはそのままに、現代の価値観やスタイルにフィットするようデザインしたのが「deco lace」です。
humがアールデコスタイルを編集して「deco lace」を制作するにあたり、肝となったのは「空間」です。
アールデコの時代のジュエリーは、直線的・幾何学的な造形に、色彩の強い宝石をぎっしり敷き詰めて作られました。
そのままでは現代のカジュアルなスタイルにマッチしないので、空間・隙間を上手く作る事で、強いコントラストの表現と程良い軽やかさを共存させています。
また、大きな宝石ではなくメレダイヤモンドを丁寧にセッティングし、サイドに細かなミルグレインをあしらって、強いデザインの中にもhumならではの繊細な要素を詰め込みました。
100年前のスタイルを引用したとは思えないほど斬新でモダンな印象のコレクションですが、このような解釈の仕方でアールデコの魅力を表現しているのです。
ただ「強い」のがアールデコではなく時代背景から生まれる「女性の強さ」なのだと捉えると、同じスタイルが元になっていたとしても、そのアウトプットの形は変化し続けて当然なのでしょう。
ところで、先日読んだ本に、社会問題をクリエイションに落とし込んだ事例が挙げられていました。
家事をする女性のイメージが強かったリカちゃん人形が自由に世界を旅するキャンペーンや、「この国は、女性にとって発展途上国だ。」というPOLAのコピーなど。
広告やものづくりによって社会問題を提起し、世の中に向けて変化を促すことは、とても意義深いと感じました。
近年日本でもジェンダーパリティ推進の動きが高まってはいるものの、世界で見ると大きな後れを取っています。
世界経済フォーラムによる2020年のレポートによると、日本のジェンダーパリティの指数は153か国中121位と、先進国の中で最も低い順位となっています。
humの「deco lace」が直接的に何か問題提起をしている訳ではありませんが、アールデコと現代の時代背景を重ねて身に着けていただくことで、ひとりひとりのマインドにちょっとした変化が起きれば嬉しいなと思いました。
本日はアールデコを編集した「deco lace」についてお話しさせていただきましたが、そう遠くないうちに、別の時代背景を取り入れたコレクションをお披露目できそうです。
詳細は未定ですが気長にお待ちいただければ幸いです。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
インスタグラム、フェイスブックも更新中です
0 件のコメント:
コメントを投稿