2021/01/24

フェルトポーチ制作秘話

こんにちは、小西です。


オーダーいただいたジュエリーに付属するポーチを、この度リニューアルすることになりました。

なんとhumのスタッフがひとつひとつ手縫いで作ります。

このポーチが生まれるまでの背景について、今日は少しお話ししたいと思います。



事の発端は、今から2年以上前になります。

これまで使用していた箱を再発注しようとしたところ、メーカー側の値上げがあり、かなり高額になってしまいました。

この価格で発注を継続するのか?

そもそも、長年使っているこの箱は、今のhumのジュエリーにふさわしいものか?

そんな議論が社内で交わされました。

すぐには結論が出ず、その時は最小ロットで再オーダーすると同時に、別の仕様のポーチを用意することになったのですが、代表の貞清は事あるごとに「(箱やポーチを)どうにかしたい」と、口に出していました。


ジュエリーの包装資材は専門の業者へ外注するのが一般的な方法で、humもずっとそうしてきました。

外注するには大きなロットが必要になります。

なるべく小ロットから引き受けてくれるメーカーを探して依頼するのですが、humのような規模の小さいブランドにとっては、どうしても過剰な在庫を抱える事になってしまいます。


また、ブランド創立からこれまでの間、humのクリエイションは大きな進化を遂げてきました。

現在のデザインや品質、そこに込められているコンセプトやメッセージに相応しいものをイメージすると、大量生産のボックスやポーチではしっくりこないというのが正直なところでした。


既製品では納得できない。

だったら自分たちで作るしかない。

デザインから制作まで、全部社内でやろうという事になりました。


中心となったのは、職人の茂木です。

ジュエリーを包む機能性、humのイメージにふさわしいデザイン、他のスタッフが誰でも作ることのできるシンプルな構造。

この3つを全て満たすために、50~60個は試作品を作ったそう。。。

ちなみに試作段階では、生地屋さんからお譲り頂いた端材のフェルトが活用されています。

試作品の数々を見る限り、かなりの難産だったようですが、最終的にすべての条件をクリアするものができあがりました。


茂木がフェルトをカットして各店舗に納品し、販売スタッフがひと針ひと針縫っていきます。

簡素な見た目ではありますが、どこを探しても見つからない、特別なポーチの完成です。


ラグジュアリーブランドのように豪華で立派な包装ではありません。

でも、私の率直な感想は「これで十分」。

何よりhumの個性と意思が表れていて、とても魅力的だと思いませんか?


機能面も十分に備わっています。

厚手のフェルト地は外部からの衝撃を和らげますし、仕切りやベルトもよく考えられており、このポーチだけで包装が完結するように作られています。もちろん余分なプラの袋や緩衝材などは不要。

ご自宅に持ち帰られたあとも、ポーチ単体で長く使い続けられると思います。



いま、あらゆる経済活動には環境への配慮が欠かせなくなっています。

今回ご紹介したポーチのお話はその観点からも捉えられるのですが、実はそれだけではありません。

一番根っこの方にあったのは、「humのジュエリーを、そこに宿るストーリーと共に、大切に届けたい」という想いです。


エコやエシカルといった言葉に囚われると、表面的に物事を考えてしまいがちですが、私達のようなブランドにとって何より大切なのは「永く愛される魅力的なものを作ること」。

この本質を見失わないことが、結果として健全な経済活動になっていくのではないでしょうか。


ポーチのような付属品も、商品の魅力を構成する重要な要素です。

職人が手作りしたジュエリーを、販売員が手作りしたポーチに収めて、お客様に届ける。

時間はかかりましたが、humにとってベストなジュエリーの届け方を見つけられたように思います。

このようなストーリーを含めてhumのジュエリーが永く愛されていく事こそ、私達の本望です。


旧仕様のポーチの在庫がなくなり次第、順次こちらへ切り替えてまいります。

お手元に届く日を楽しみにしていてくださいね。



今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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Maira Gall